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最果て風呂

正字(旧字体)と親しむスクリプトと Emacs の紹介

Windows 上では秀丸エディタサクラエディタを使われている方が多い事と思いますが、正字正かなに興味を持たれた初学者のために、今回は Emacs を紹介したいと思います。設定が大変であったり、複雑なキーバインドのために小指を痛めてしまうことで有名なので、敬遠されている方も居るかとは思います。しかしながら、今回利用するスクリプトの実行に必要なものですので、ぜひとも試して頂きたいと思います。

(MacOSXdmg をダウンロードして中身を Applications フォルダに入れるだけなので難しくないと思います。良く使われているのはミミカキエディットや CotEditor になるのかしら)

@moriyama164 氏が GitHub にて開発されている seijiseikana-el を使うと、すでに入力されたテキストの正字と略字(旧字と新字)を相互に変換することが可能です。これはすでに体の一部となっている正字正かな属性の人々にとっては何のメリットもありませんが、これから使ってみようと考えている初学者にとっては有効なヘルプアプリケーションになります。また、他者によって書かれた新字新仮名の文章を、正字正かなに直す必要のある編集者にとっても便利なものでしょう。

今回の作業ではコマンドを入力する作業はたったの 1 回で、それ以外は全てマウスクリックで行うことができます。Git の使い方などを知る必要はありません。「変換機能を体感すること」を目的としていますので、かなりの省略をしています。常用するためにはやはり煩雑な設定が必要になってしまいますので。

前口上はこのくらいにしておき、早速変換を体感してみることにしましょう。ダウンロード編と変換編の二段階に分けて、画像による説明をしていきます。

ダウンロード編

必要なものは二つ。Emacs と seijiseikana.el です。

Emacs をゲット

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GNU のサイトから Emacs をダウンロードします。今回は最新版の 24.1 を使ってみましょう。(23.4 であった「ウインドウサイズを変化させるとエクスプローラーが再起動してしまう」という不具合がなくなっています)
URIhttp://ftp.gnu.org/gnu/emacs/windows/ です。


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ダウンロードが済んだらダブルクリックで解凍しましょう。zip なので Windows 標準機能で解凍できると思います。(私は Lhaplus を入れているのでアイコンが変っていますが)


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(たぶん)デスクトップに emacs-24.1 というディレクトリができていますので、ダブルクリックで開いていき、bin ディレクトリに移動します。実行ファイルがいくつかありますが、「runemacs.exe」を実行します。これで Emacs が起動しました。

seijiseikana.el をゲット

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次は変換をするスクリプトのダウンロードです。GitHub にある seijiseikana-el プロジェクトのページ左上に注目してください。雲の形をしたアイコンをもつ「ZIP」ボタンがありますので、これをクリックしてダウンロードしましょう。ダウンロードが終了しましたら、先程と同じようにダブルクリックで解凍します。ディレクトリに変な数字が付いていますが、今は気にしなくても良いです。さぁ、次からはいよいよ変換を体感しますよ!
URIhttps://github.com/moriyamahiroshi/seijiseikana-el/ です。

変換編

必要なものが揃いましたので変換することにしましょう。

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解凍されたディレクトリにある「seijiseikana.el」というファイルを、起動している Emacs にドラッグ&ドロップします。これでスクリプトファイルが開かれたことになります。


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スクリプトを有効にするため、メニューバーの「Emacs-Lisp」→「Evaluate Buffer」を選択します。これでスクリプトEmacs 内に読み込まれて漢字の置換機能が使えるようになります。


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さぁ、これで準備は整いました。早速漢字を変換してみることにしましょう。「File」→「Visit New File...」でファイル選択ダイアログを開きます。(好きなファイルをドラッグ&ドロップでも良いです)


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サンプルファイルを用意していなかったので、ここではプロジェクトの TODO を使うことにします。


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マウスを使って変換したい文字列を選択します。一行でも良いですし、全文でも良いですし、行の一部分でも良いです。次はいよいよ変換の実行です。


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ここだけはコマンドの入力が必要になります。「Escキー」を押してから「xキー」を押します。最下部に「M-x」と表示されていることを確認して、続けて「seijiseikana-ryakuji-region」と入力します。Tabキーによる補完が可能ですので、例えば「seiji」まで入力すれば「seijiseikana-」まで補完されます。さらに「r」を入力してTabキーを押せば、最後まで補完されます。最後になりました。地獄のミサワらしく「ッターン!」しましょう。


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選択した部分の漢字のみが正字から略字に変換されています。ちょっと感動しますね。略字から正字にも変換することができます。その場合はコマンド名を「seijiseikana-seiji-region」とします。


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現在の語彙は 400 字弱となっていますが、どんどんと成長していく姿をみることができると思います。みなさんの声が励みになると思いますので、「使った」だの、「ここが変」だの、何らかのリアクションをしてみてください。開発者って結構孤独なんですよねぇ。


(2012-06-24 プロジェクトページのダウンロード部分を更新)